こたつ【難波麻人】
こんな事言うと、「お前は日本人じゃないさっさとこの国から出て行け!」そう罵倒されそうで怖いが、僕はあんまり「こたつ」が好きではない。
だけどみんな「こたつ」が大好きで、家の同居人の後輩が、
『そろそろこたつ出す時期ですね?こたつ布団洗濯しときますね!』
なんて嬉々とした表情を浮かべるもんだから、僕も作り笑いを浮かべ、
『じゃあ俺は蜜柑と蜜柑を入れる籠買ってくるね。』
と調子よく返事をしてしまう。
こたつが好きではない理由はいくつかあって、まず単純に必要なくない?と感じてしまう。
えっ、何でそんなこたつ出したがるん、エアコンあるしホットカーペットあるしいらんくない、特にこたつが便利な訳でもないし、だいぶ冬のイメージにもってかれてない?
そんな風に思ってしまう。
そしてこたつを好きになれない最大原因は、こたつの中と外が全くの別空間だという事である。
例えば同居人と三人でこたつを囲み酒を飲んでいる、もう出会って何年も経つし、流石の僕も人見知りする事も、気を使う事もなく盛り上がれる。
しかし、こたつの中で足が触れ合ったその瞬間だ。
まず急いでその足を引っ込める、そしてこたつの外ではまるで何事もなかったかのように笑顔で振る舞い続け、更にこたつの中では二度とその足が触れ合わないように、全神経をこたつの中に張り巡らせている。
どんなに長く時間を過ごした友人や家族であっても、こたつで足が触れ合った瞬間、まるで映画館の肘起きに手を置こうとして、隣に座ってる他人の手を握ってしまった時のような感覚に陥ってしまう。
つまりこたつの中で僕は、
『足見知り』
してしまうのだ。
いくら足見知りを克服しようと思っても、数ヶ月もすればまたこたつは片付けられてしまう。
そしてまた、こたつを出す季節まで相手の足とお別れするのだ。
ただでさえ人見知りの激しい僕が、これでは足見知りを克服出来る訳がない。
いくらこたつの中で時を過ごしても、半年以上触れ合わなかった足はもう他人に戻ってしまう。
今年も家にはこたつが出ている、今度は思いっ切って「俺等もうこたつの中でも気使うんやめにせえへん?」そう提案してみよう。
少し前から、ブログやツイッターで皆様からテーマを貰いエッセイ的なものを書いてます。
何でも構いませんので、テーマがあればまた送って下さい。
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