音楽【難波麻人】
昔から音楽をあまり聴かなかった…、という文章を音楽を聴きながら書いているから、初っ端から嘘を吐いてるような気持ちになっている。
聴かないと言うよりはあまり音楽に拘りを持っていなかった。
良いものはいい、そんな感覚で音楽を聴いていたけれど、それで音楽を好きだと言う事は許されない風潮が存在していた。
音楽が好きという奴は、好きなジャンルやアーティストがいて、自分の好きなもの以外は音楽と認めないという強い意志が必要だった。
だから昔、音楽好きの後輩などに、
『難波さんてどんな曲聴くんですか?』
なんて聞かれると、安室ちゃんやhitomiと答えそうな自分を抑えて、
『くるりとか…』
と声を震わせて言っていた。
けれど音楽が好きな友人の家に遊びに行った時、大量のCDが並べられた棚の中に、安室ちゃんやhitomiのアルバムが並べられていたのだ。
『なんでこんなCD持ってんねん!』
僕はまるで理解出来ないという表情を浮かべてツッコんだ。
『めっちゃいいやん。』
友人はなんの躊躇もなく平然とそう言った。
本当に霧が晴れた感覚だった、そうか別にいいのか、うん、だってめっちゃいいもんな。
それから僕は好きな音楽を聞かれても、
『秦基博とか。』
と自然に答えれるようになった。
好きなアーティストや音楽があるなら、誰にも理解されなくても照れずに好きと言っていいし、逆にそうする事によって、自分が理解出来ないジャンルに対しても、自分が分かってないだけで絶対いいものなんだと思えるようになる。
そうやって触れると、その曲の素晴らしさが不思議と分かってくるようになる。
僕はコントやライブ全体を構成する中で、その垣根を取っ払う事によって産まれた広がりがみたいなものを実感している。
僕達は、顔の表情や細かい動きが見える、その圧が届く範囲の観客しか笑わせる事は出来ない。
けれど音楽は、その音や声一つで何千人という観客を涙させる事が出来るのだ。
音楽は批判する為に聴くものではない、だから僕はいい所だけを探すように心掛けている。
皆さんのお勧めの曲があったら是非教えて下さい。
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2017.03.09 09:36