ゾンビなんやで。【桝本コージ】

池袋でやっていた『ゾンビ防衛対策防衛学会』て言う、人がやるお化け屋敷的なやつのゾンビバージョンに行って来ました。

僕はゾンビが大好きでゾンビ映画もたくさん観ているので、これを知ってすぐに怖がる彼女を無理矢理誘いました。

『ゾンビも無理だし、お化け屋敷も無理だし絶対に無理だよ』

そう言う表情を浮かべる彼女はとても可愛かったけど、ここで可愛いと言うと余計に怒るのを僕は知っているので僕は何も言わずに手を強く引っ張って池袋へと向かいました。

最終日て事もあり入るのに少し並び、そして僕らの順番が来てエレベーターでビルの60階に上がり20人くらいがまず部屋に入ってクルーの人に説明を聞きました。横にはチェーンで繋がれたゾンビ。

軽快に話すクルーはすっかり話の緩急も出来ていて全て話し終わった後に『わっ！少しテンション上がって声が大きくなっちゃいました！！…バイト最終日だから。』と最後はボソっとオチを付けて大きな笑いを取っていて、それで彼女も笑っていたので僕は少しムッとしちゃいました。

その瞬間にクルーの横にいたゾンビがお客さんの方に『グワァッ！！』と襲いかかり、みんな『キャーー！！』と叫び、僕もまんまと『わっ！』とビックリしてしまい、それを見た彼女にクスクスと笑われ、自分だってビックリしたくせにと僕は更にムッとしちゃいました。

そんなこんなでスタートして1組づつ経路を進み、人がやっていると分かっていても矢張り怖くて僕も彼女も何度も声を上げてしまい、しかし怖がれば怖がるほど彼女が僕の手を強く握るので、やっぱりゾンビって悪くないなと感じながら何とかゴールを迎えました。

ゴールの先は喫茶店になっていてゾンビの特別メニューがたくさんあり、ついさっきまでゾンビを見てキャーキャーと叫んでいたくせに彼女は『わぁ色々ある☆食べても良い？？』と可愛い表情を浮かべてくるのでもちろん断る事なくたくさん頼みました。しかし注文が揃って少し食べたらすぐに『もうお腹いっぱい』と顔で食べのを放棄し、結局ほとんどを僕が食べる事となりました。（いつもそう…）

僕は全く動けませんでした。映画や漫画で見るヒーローや彼氏は自分の愛する人がピンチになった時は考えるより先に体を動かし愛する人を助けていました。けど僕は全く動けませんでした。助けなくてはいけない。そう分かっていても全く動けませんでした。僕が呆然としていたら『このエレベーターに乗って降りて下さい！！』とクルーが僕を促してきました。けど彼女を置いては行けない。と、もう一度彼女を見た時、彼女はもう完全にゾンビになっていました。それでも彼女を助けなくては…きっと助かる方法があるはず…本当はそんな方法はどこにも無い事も数々のゾンビ映画を観て知っていましたが、認めたくなくて様々な方法を考えてみました。しかし何一つ彼女を戻す方法が思い付きません。。『まだ乗れますのでエレベーターに乗って降りて下さい！』と更にクルーに促され、僕は他にもゾンビから逃げる人達に押し込まれる様にエレベーターに乗りました。その閉まるドアとドアの間から足を引きずりながらこちらを襲おうとする彼女の姿が見えましたが、ゾンビになった彼女はいつもの元気な彼女とは違い動きも遅く、こちらに到達する事なくドアは閉まりエレベーターは地上へと降りていきました。

そこからまたエレベーターで60階まで戻ろうとしてももうクルーは許してくれませんでした。僕がどんだけ訴えてもエレベーターには乗せてくれず、そして遂にはビル自体を封鎖されてしまいました。。。

僕はとても無力で情けない男です。1人の彼女も守れないどうしようもない人間です。しかしそれでも生きなければなりません。それでも今まで通り笑顔で舞台に立たなければいけません。それが彼女の望みでもあるので。。

キャラバンのトークライブ

『プチ』

11/12（日）

中野440スタジオ

一部

開場18:45

開演19:00

料金1000円

二部

開場20:45

開演21:00

彼女を失って可哀想だとか、頑張ってとかはいりません。ただライブを見に来て笑って欲しいです。よろしくお願いします。。。