コラム『料理』【難波麻人】
たまに「料理出来るんですか?」と聞かれることがある。
出来ます!と胸を張って言える程ではないけれど、オムライスとかその程度なら普通に出来る。でも自分の為に料理をする事は殆どなく、いつも誰かに振る舞う時だけ作っている。
僕は料理を作る事ではなく、作った料理で喜んで貰う事が好きなのであって、彼女でも何でもない、味が濃ければ旨いと判断する舌しか持ってない後輩に「難波さん、美味しいですね!」と言われるだけで凄く喜んでしまう。
これはきっと料理を作る殆どの人がそうなのであろうから、中学生の頃にもっと母親の料理を美味しいと言ってあげればよかったなぁと思ったりもする。
逆に女性に料理を振る舞って貰う時は、あまり味を気にしない。
僕にとっては、自分の為に料理を作ってくれた時点で70点を越えているので、後は予想以上に美味しかった時にサービスポイントは付くけれど、何より作ってくれた事が味なんて関係ないぐらい嬉しいのだ。
いや味なんて関係ないというより、きっと僕はどんな料理でも美味しいと思ってしまうのだ。
しかし、ここでマイナスポイントが付くこともある。
それほど多くの女性に料理を作ってもらった事はないが、僕が十分幸せな気分に浸ってるのに、「味見してないから微妙かも」とか、「いつも使ってるのがスーパーになくて」とか、「本当は一晩寝かせた方がいいんだけど」とか、言ってくる女性がいる。
いやほんなら味見したらいいし、違うスーパー行ったらいいし、前から決まっててんから一晩寝かせといてや、としか思わない。
愛情と思いやりだけで創造された世界に、突然混じり込んできた不純物のように感じられる。
しがない虚栄や羞恥心など、そこには全く必要ないように思うのだ。
挙げ句の果てに、「ダメ!これもう全然違うやつだわ」と、怒りながら持って来る女性もいたりなんかして、「いや、ほなもう持ってくんなや!」と、思わずツッコんでしまいそうになる。
大丈夫、誰かを想い誰かの為に料理を作るアナタの姿は、きっとそれだけで何より尊いものだから。
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2018.04.10 02:23